ミニチュア・ダックスフントのモモちゃん。太り気味、ダイエットの必要な犬を治す!

「太り気味、ダイエットの必要な犬を治す!」

Q;
東京都足立区に住むミニチュア・ダックスフントのモモちゃん
(メス・4才9ヶ月)は体重が7、8kgもあります。

ミニチュアの標準体重は4、8kg以下ですから
3kgオーバー(肥満率162%の重症肥満)です。

首の周りには幾重にも脂肪がついていて、あごの肉がたるんでいます。
胸やお腹はふっくらしていて、腰のくびれがありません。
そのため、モモちゃんは動きが鈍く疲れやすいのか、いつも寝てばかりです。

犬が太り過ぎると、足腰に負担がかかったり、
内臓に脂肪がついたりします。
そして、体の色々なところが悲鳴を上げ始め、
それによって寿命を縮めかねません。

どうしたらいいのでしょうか?

A;
運動した後に、満腹感を覚えやすいヘルシーフードを与えます。

健康なモモちゃんは、とても食欲旺盛です。
ご飯をがつがつ食べるので、
飼主はドッグフードやオヤツを多めに与えています。

また散歩に連れていっても、すぐに伏せてしまってあるかないので
抱きかかえて帰ってきます。

このように、モモちゃんが重症肥満になってしまったのは、
飼主さんの甘さが原因です。

犬は人間と違って足裏にしか汗腺がありませんので、
やせるためにサウナに入って汗をたくさん掻くようなことはできません。
また、犬に過度な運動を強いても、疲れれば伏せてしまいます。

犬がやせるためには、運動ではなく食事コントロールをするしかありません。
しかし、自分からダイエットをする犬はいません。

モモちゃんを痩せさせるには飼主が甘い気持ちを捨てて、
家族全員に協力してもらいながら、ダイエットを進めることが大切です。
先ず、現在のモモちゃんの食事を見直します。

これまで、飼主は目分量でドッグフードを与えていました。
また家族全員がそれぞれおやつを1日何回も与えていました。
そのため、カロリー過多の可能性大です。

これからは、ミニチュア・ダックスフンドの理想(4、8kg)を目安に、
モモちゃんに与えるべき食事のカロリーを計算します。

急にカロリーを減らしてしまうと、体に過度な負担をかけてしまいます。
1ヶ月に10%程度の減量(モモちゃんの場合は500g)を
目標にして食事のカロリーを減らし、
長期間(モモちゃんの場合は6ヶ月)で
ダイエットを完了するようにします。

ドッグフードのパッケージに記載されている
「年齢と体重ごとの1日当たりの給与量」と
「100g当たりの代謝エネルギー量」で確認すると、
現在モモちゃんは600kcalのドッグフードを食べています。

理想体重(4、8kg)に必要なカロリー要求量は437kcalです。
ですから、6ヶ月間で163kcal減らしていけばいいわけですから、
1ヶ月毎におよそ27kcalずつ食事の量を少なくしていきます。

次にオヤツを完全に止めて、
8時間おきに1日3回主食のみを与えるようにします。

犬の人間と同じで食事の回数が少ないと、
体は少しでも多くの栄養を吸収しようとするので、
消化によくありません。
また、規則正しい食事を取るようにすれば、体内リズムが安定します。


※モモちゃん(目標体重4、8kg)に与えたダイエット食を紹介します。

●材料;
鶏のささみ(20g・22kcal)、
豚の赤身(20g・31kcal)、
にんじん(10g・3、5kcal)、
キャベツ(10g・2kcal)、
サツマイモ(10g・12kcal)、
小松菜(10g・15kcal)、
りんご(10g・5kcal)、
いちご(10g・5kcal)、
無塩の煮干(20g・1kcal)、
擦りゴマ(5g・11kcal)、
オリーブオイル(2g・18kcal)、
おから(30g、33kcal)、
糸こんにゃく(20g・1kcal)


●作り方

1-にんじんとサツマイモは賽の目に切ります。
キャベツと小松菜は千切りにします。
糸こんにゃくは2cm幅で切ります。
そして、下ゆでしてざるにあげます。

2-りんごといちごは1cm角に切ります。

3-1・2の野菜と果物をジューサーで摩り下ろします。

4-鶏のささみと豚の赤身を下ゆでし
食べやすい大きさに切っておきます。

5-無塩の煮干は磨り潰します。おからは乾煎りします。

6-食器に?Cの肉を盛り付けて、?Bの野菜と果物、
7-の煮干とおからを乗せます。

そして、その上から、擦りゴマとオリーブオイルをかければ出来上がりです。


※注意点

●モモちゃんの理想体重(4、8kg)に
必要な1日のカロリー要求量は、437kcalです。
朝昼晩の3回食事を与えますので、
1回の食事のカロリー要求量は約146kcalです。

●だらだら散歩しても、犬はカロリー消費をしません。
飼い主が主導権を握った上で、早歩きをしたり、
坂道を駆け上がったりして下さい。
散歩終了後、犬がばたんきゅうするくらい満ち足りた運動量です。

●ドッグフードのパッケージに記載されている
目安量をそのまま犬に与えないで下さい。
目安量自体が欧米での基準値になっているフードがあります。
比較的運動量の少ない日本で飼われている犬にとっては、
これがカロリー過多になります。

●運動した後に犬に食事を与えると、
ダイエット効果が得られます。
なぜなら、体は疲れを癒すために血液を送ったり、
食物の分解吸収のために胃や腸にも血液を送ったりします。
そのため、1ヶ所に送られる血液の量が少なくなるので、
犬の体内に吸収されていくカロリー量が減るからです。

●脂肪の多い食物を控え、
タンパク低脂肪の食材(鶏のささみ、おから)を活用して下さい。
また、カロリーの吸収を抑えてくれる食物繊維(糸こんにゃく)も有効的です。


(まめ知識)
●犬の体重を測るときは、飼主が犬を抱いて体重計に乗り、
そこで得た数値から飼主分を差し引けばOKです。

●犬が太り過ぎかどうかは、助骨の部分を手で触ってチェックします。
手を強く押さないと助骨を確認できないようであれば太り過ぎです。

また、上から全体を見た時に、
ウエストがくびれていない犬は太り過ぎです。

横から見ると、胸から腰にかけてのラインは大きな弧を描き、
キュット引き締まっていなければ肥満といえます。

さらに、首の後ろは最後に脂肪が付く所なので、
ここに肉が幾重にも寄っていて掴めるようならば、
その犬は重度肥満です。

●肥満から起こる病気には、糖尿病、関節の疾患、
呼吸器や循環器の疾患などがあります。
また、肥満を引き起こす病気には、

副腎皮質機能亢進症、甲状腺機能亢進症、
性腺機能不全、脳障害などがあります。